DODメンバーの想いや感じたことなどを、コラムとして綴っています。
10/7(日)~8(月)にフューチャーサーチを開催しました。
今回で4回目の開催となるフューチャーサーチは、前回同様、実際の子供向け教材制作企業をモデルケースとして開催しました。
25名の参加者の方が5つのステークホルダーグループに分かれ、それぞれの役になりきって、これまで以上に本番さながらの
真剣な対話がなされていたように思います。
フューチャーサーチは、他のホールシステムアプローチよりも、参加者の方々が体験する「葛藤、無関心、非難、逃避、戸惑い、
困惑、混乱」などが多く生まれるプロセスになっています。そして、人はこんなにも違うものを見ているのか、こんなにもわかりあえないものなのかと、悲観的になってしまうこともあります。
それでもなおこのフューチャーサーチが世界中で行われているのには、その先にこそ強い希望が生まれるからなのだと思います。
対立する人を説き伏せるのではなく、違いを知る、認める、そして受け止める。
対話をしながら、お互いのその言葉の背景を理解する。
違いがある者同士が、それでも未来のために望んでいることを探求し続け、それが見つかったとき、皆で同じ方向の未来へ向かって歩みを進められると実感する、そんな希望が生まれるのだと思うのです。
今後もフューチャーサーチを体験できる機会として、年に2回くらいのペースで開催していきたいと思います。
ご興味のある方、ぜひ次回にご検討ください。
そして今回ご参加いただいた皆様、貴重な機会をご一緒させていただき、本当にありがとうございました!
(DOD代表 大前みどり)
『マシュマロチャレンジ』というアクティビティをご存知ですか?
2010年、TEDにおいてトム・ウージェックが紹介した研究結果で、いまでも多くの教育関係者の注目を集めています。
http://www.ted.com/talks/view/lang/ja//id/837
具体的に何をするのかというと、スパゲッティの乾麺、90センチのテープ、90センチのヒモを使ってできるだけ高い構造物を作り、てっぺんにマシュマロを1つのせるが目標というものです。
私たちも実際2度ほどチャレンジしてみましたが、1度目は時間内に完成せず、2度目は、1回目の失敗をいかしてうまくいきました。
この簡単なようでいて、なかなか奥の深いゲームがなぜ注目を集めているのか?は上記でご紹介した動画を見ていただくとして、今回は実際にチームでマシュマロ・チャレンジを体験し、ワールドカフェ形式でその体験をより深めていくという機会を設定しました。
目標が明確な、チームでの共同作業を通してのチームビルディングとしてだけではなく、それぞれの普段の仕事の仕方にも、大きな示唆を得られる機会となると思います。
※当日の様子を下記でレポートしています!
http://world-cafe.net/2012/10/914-1.html
(DOD代表 大前みどり)
数日前にfacebookで話題になったある動画があります。
スペインのとある広場で、楽器を持った1人の男性の前に置かれた帽子に少女が小銭を入れると、男性が演奏を始めます。
すると、別の楽器を持った演奏者が次から次へと登場し、最終的には100人を超えるオーケストラと合唱団の大演奏となるのです。見ていて自然に涙があふれ、深く胸を打たれます。
音楽の持つ素晴らしさもさることながら、こうして1人ひとりが集まることで大きなことが生み出されていくのだなと自分たちがこの活動を始めたときの本当の原点を思い出しました。
最初は一人とひとりが出会い、始まる。
ぜひ一度、ご覧になってみてください。
http://rocketnews24.com/2012/07/03/226848/
(DOD代表 大前みどり)
5月の最終週に、DOD主催では3回目となるフューチャーサーチを開催しました。
テーマは“今ある限界を超えて、新たな組織のあり方を共創する”
今回は実際の企業(子供向け教材制作会社)をケースに、事前に取材を重ね、なるべくリアルに近い形でステークホルダーの
役を演じていただくスタイルで行いました。
参加者のみなさんの役作りの巧みさも相まって、リアルで行われているのではないかと錯覚を起こすほどのフューチャーサーチのプロセスが体験できたのではないかと思います。
今回のケースとなった企業が抱えている大きな課題は、
・旧態依然とした業界
・マーケットの縮小
・デジタル教材の広がり
・社内部署間のコミュニケーション不足、対立
など、どんな業界でも当てはまりそうなものです。
フューチャーサーチのプロセスで、過去、現在をありのまま見つめ、未来を描くことで、自分たちが今何ができていなくて、
本当は何を望んでいるのか、次第に浮き彫りになっていきました。
ジェットコースターのような感情の変化を感じながらも参加者のみなさんの内面が一番ゆれたのは、「コモングラウンド」を明確化する時間だったと思います。
コモングラウンドの明確化では、みんなが寸劇によって描いた20年後の未来の中に共通する、みんなのよりどころ、価値などを言葉にして明確化し、全員が合意できるものを見つけていくのですが、ここで、人はこんなにも、同じ言葉から違うことを連想し、同じ気持ちなのに違う言葉で表現するのか、さっきまでみんなで描いていた未来はなんだったのだろうか、と半ば絶望にも似た虚脱感やあきらめのようなものが会場を包みました。
そんな対立や葛藤のくぐった結果、2つの力強いコモングラウンドが生まれました。
●子供の主体性を尊重する
●企業、学校、地域社会が一体となった学びの創出
これはただパッと出てきた言葉ではなく、葛藤や対立を乗り越えてそこにいるみんなが同意したコモングランド。
そこにこそ、未来に向けて実際に行動に移せる力が宿っているのだと思います。
最後にこのコモングラウンドを実現するアクションプランが4つ発表されました。
今回は模擬ケースでの開催でしたが、このように体験をできる機会をつくりながらも、実際にフューチャーサーチを実践したいという企業や地域のお手伝いを今後も続けていきたいと心を強くしました。
(DOD代表 大前みどり)
5/13に「はじめてのインテグラル理論&ワールド・カフェ」 を開催しました。
昨年8月に続いて2回目の開催です。
今回は、インテグラル理論の中で、状況を統合的に把握するシンプルかつ実践的なフレームワークについて、講師の鈴木さんから解説をいただいた後、ワールド・カフェに移りました。
講演時間がさほど長いわけでもないのですが、鈴木さんのお話はわかりやすい一方で情報量が多く、参加者の方々の中には、ひたすらメモを取る姿、うーんと考え込んでいる姿が多く見られました。
いつもより頭を使うからか、用意しておいたたくさんのチョコやおせんべいなどのお菓子類がなくなるスピードがいつもと比べて異様に速く(笑)、追加でコンビニに買いに行くほどでした。
インテグラル理論の内容は、書籍で読むと難しく感じますが、鈴木さんのお話を通して理解したり、さらに対話で深めたり、
疑問を出し合ってその場で解消していくことによって、単に本を読むだけでは得られない、重層的な学びになったのではないかと思います。
人それぞれ、その人の生きてきた文脈や、現在置かれている環境によって、世界や物事を見るレンズに違いがあります。
自分がどんなレンズを通して世界を見て、理解しているのか、まずはそれに気づく必要があるのだと思います。
そしてさらに、多くの人の様々なレンズを自分の中に持てる器となるBeingを変容させていくことが、人の「成長」であるというお話は、深く納得感のあるものでした。
こちらもぜひまた機会をつくってさらに理解を深める場を開催していきたいと思います。
(DOD代表 大前みどり)
4/21に「破壊と創造」OST(オープン・スペース・テクノロジー)を開催しました。気持ち良い天気の中、和室と会議室を利用しての開催でした。窓から見える景色も広がりがあり、会場スペースにも余裕があったので、気持ちよくオープンスペースを味わえたと思います。
「破壊と創造」というテーマには、「これまでの当たり前を壊し、未来のために今私たちはどんな行動をしていくべきか?」という問いかけが込められています。当日はトータルで11個のアジェンダが出され、3回のセッションが行われました。
【当日出されたアジェンダ】
・一歩踏み出すためには何が要るのか?
・このまま会社員のままでいいのか
・自己を否定することなく生き生きと人生を過ごすためには?
・部下に任せることができず抱え込んでしまう上司を壊すには?
・自分のエゴと主張をどうやって他人と融合させていけばいいか
・楽しく破壊するには?
・職場での態度、苦手な人
・破壊しつくしたらどんなことが起こるか?
・ネガティブにとらえる習慣、思い込みを壊すには?
・主体性と情熱を持つには?
・個性が活きない人事制度
OSTでは、セッションの時間は決められていますが、それ以外は参加者が自主的に運営をします。議事録をとるのも
話し合いの結果をまとめるのも、参加者が行います。どのセッションに参加するか、途中で他のセッションに移るか、話し合いそのものをやめるか、もすべて参加者に任されています。だからこそ、本当に自分たちが話し合いたいことについて、主体的に関わり話し合っていけるのだと思います。
OST提唱者のハリソン・オーエン氏は、実際に対立や葛藤を抱えている組織でこそ、OSTが機能すると言っています。
シンプルで奥の深いこの手法を現場で活用していけるよう今後も定期的に体験できる機会を作っていきたいと思います。
※写真つきの開催レポートを下記に記載しています。
http://world-cafe.net/2012/04/ost.html
(DOD代表 大前みどり)
3/31に表現アートダイアログを開催しました。
個人向けAIワークショップで行ったものも含めると、今回で4回目となる表現アートダイアログ。
会場に気持ちよい日差しが射し込む中、のびのびとゆったり自分を表現する時間が流れました。
お一人おひとりが作品づくりに取り組んでいるときの真剣な表情や、会場全体の凛とした空気感。
作品について語り合っているときの豊かな表情や、あたたかな空気感。
全体として調和を持ちながら、静かに深く自分の内面との対話ができたのではないかと思います。
ワークショップの冒頭でお伝えしたのですが、コミュニケーションは普段言葉によるものが多いとはいえ、言葉にできない何かを自分の内に抱えているのもまた人間です。
考える頭を少し休ませて、手が動くまま形づくってみる。
それについて感じることを自由に話しあってみる。
そんなシンプルな行為の中に、自分らしく生きるヒントがたくさん眠っているのだなと、改めて実感するワークショップでした。
忙しい毎日の中で、ふと立ち止まって自分を見つめられる機会として、これからも定期的に開催していきたいと思います。
(DOD代表 大前みどり)
昨年、神戸大学の金井壽宏先生にご講演いただく機会があり、そのときに印象的なお話をされていました。
モチベーション理論の研究家でもある金井先生が建築家の安藤忠雄さんにインタビューをしたときのことです。 「安藤さんのやる気の源泉にあるものは何ですか?」という質問に、安藤氏は「そんなの怒りに決まっているじゃないですか」と答えたそうです。
金井先生は少し面喰って、「それはどういう意味での怒りですか?」とさらに質問したそうです。
そして返ってきたのが「空間が無駄に使われていることへの怒りだよ」という答え。
安藤忠雄氏の世界的な建築物は、そういう建築家としてのセンスや誇り、責任感から生まれてきていることが垣間見えるエピソードだなと、とても印象に残りました。
そんなのち、ある会合で「何か壊したいものがありますか?」というテーマでのダイアログをしました。変わらない組織、政治。雑多なエネルギーがうごめく町。いろいろな意見が出ました。
聞いていて共通していたのは、それぞれが単に「自分が気にいらない」というレベルで発言しているのではなく、根底に「どうにかしたい」「もっとよくしたい」というエネルギーを持っているからこそ「壊したい!」という気持ちが生まれるのだということ。
そして、何かに対して怒りを感じたり、何かを壊すということは、今まで当たり前、当然と思われてきた思考の足かせや古い慣習を取り払って、ゼロベースで、本当に望んでいる未来を考える作業なのだと気づきました。
ちょっとずつ改善、改良するのではなく、いったん全部を壊したとして、そこで自分は、自分たちは、何をつくりたいのか?
そんな風に考えることが今、この不確かな時代だからこそ必要なのではないかと思います。
そこにこそ、「本当に自分がやりたいこと」「果たしたいと思っている役割」のヒントがあるのではないかと考えます。
(DOD代表 大前みどり)
3月2日(金)大阪の産業創造館にて、LLCチーム経営さんとの共催で「ストーリーテリング&ストーリーライティング・ワークショップ」を開催しました。
本来4時間くらいかけておこなう内容を、2時間半の中にぎゅーっと凝縮したにも関わらず、あたたかくやさしい時間になったと思います。
前半で私(大前)自身の仕事のストーリーと、これまで制作に関わらせていただいたヤクルトさんの創業のストーリー、ヤマト運輸さんの人を大切にするストーリーなどをお伝えし、後半は、参加者のみなさん同士でのインタビューや、自分がきいたストーリーを共有する時間。一人ひとりのかけがえのない大切なストーリーが、他者の口を通して語られることで、まるで新たな命が吹きこまれるようでした。
自分のストーリーを語ること。そのストーリーに他者が耳を傾けてくれること。他者がもう一度それを語ってくれること。それをみんなで共有すること。シンプルなことをしているだけなのに、そこに深い承認や共感が生まれたり、自己物語の再編集によって、あらたな気づきや確信が生まれたりします。
最後の全体共有の時間には、こんな感想をいただきました。
●感動って、自分にはそんなにないかなと思っていたけれど、他の人の話を聞いていて、自分の中のいろいろな体験が
掘り起こされました。
●居酒屋で仕事の愚痴を言うことはあっても、あらたまって感動ややりがいについて話したことはない。仕事や時間に追われる毎日の中で、こういうことを立ち止まって見つめる機会自体がないので、本当によい時間だった。
●事前に、仕事で感動ややりがいを感じた体験を考えてきてくださいと言われ、すごい体験でなくてはいけないと思っていたけれど、ワークショップに参加する中で、何気ない日常の中に感動があるんだと感じられる時間でした。
いろいろな企業や地域の中で、働く一人ひとりの思いが大切にされるよう、これからもこういった時間をつくり続けていきたいと思います。
(DOD代表 大前みどり)
私たちが2009年にワールド・カフェに関する活動をスタートしてから、丸3年が過ぎました。
この3年間の間、数十回のワールド・カフェやワークショップを開催し、数千人の方々との出会いがありました。
それぞれの場において、未来への種が蒔かれ、芽生えました。
そして、今なおそれが続いています。
もともと私たちが活動を始める根底にあったのは、第1回のワールド・カフェ・ウィークの主旨に記載した思いです。
オープニング・イベントにご登壇くださった田坂広志氏の言葉、
“たとえ、その社会が不完全であり、多くの問題を抱えていても、自らが、その社会を「より良き社会」に変えるための活動に参加
していると感じるとき、人々は、大きな幸福感を感じることができる。”
を受けて、活動の根底にすえた思いです。
「社会を変えるリーダーの登場を待つのではなく、対話の場を通して自らの行動一つひとつで社会をより良く変えていくことができると一人でも多くの人が思えること。」
家庭においても、地域においても、組織においても、学校においても、誰もが当事者であることを知ってもらう、気づいてもらうことが重要であると考えています。
現状を変えたい、変えなくてはならない、と声高に叫ぶことも一つの大切な行動ですが、変革は外からもたらされるもの、力のある人が起こすものではなく、自らの意思で、それを起こそうと思った人の内にそのための力が宿るということを、私たちは信じています。
自分の中に変化をもたらす力があると気付いてほしい。
自分の足で立って、歩みだす人が増えてほしい。
小さな力を集めて、全体として大きな力にしたい。
それに気づいた方、共感してくださる方が、次の一歩を踏み出すときにいつでもサポートしあえるようなネットワークや場をつくり続けたい。そういう思いで、これからも活動をしてまいります。
(DOD代表 大前みどり)