人は誰でも「よりよくなりたい」と思っているでしょう。
今より何かの点においてよくなること。
それはプラス方向への変化です。
このプラス方向への変化は何によってもたらされるのか。
残念ながら私たちは、何か新しいことを教えてもらったからとか、
本で読んだから、という理由だけでは簡単に変化を起こすことはありません。
もちろんそれがきっかけということはあるでしょう。
しかし、それだけではプラス方向の変化は起こりません。
では、何がプラス方向の変化をもたらすのか。
例えば、新しい知識を得るために本を読んだとしましょう。
私たちはその時に、以前に知った別の知識とつなげたり、
過去の経験に照らし合わせてみることで、「なるほど」と思うわけです。
この「なるほど」は「気づき」とも呼ばれますが、
この気づきが私たちの次の行動へとつながっていき、
プラス方向の変化へと私たちを導いてくれるのです。
同じことが対話によっても起こります。
自分の意見を誰かに話す。
このとき、相手から異なる意見が飛び出したり、
自分には見えていなかった点について言及されると、そこに気づきが起こります。
つまり対話によってもたらされる自分と異なる意見、
違う方向性の見方・考え方が私たちに気づきをもたらし、
人にプラス方向の変化を起こすきっかけとなるわけです。
さらに、同じ変化は一人で自分自身と対話をしている時にも起こります。
例えば、日記を付けたり、ブログを書いたりすると起こりやすいでしょう。
自分の考えを何らかの形で表出させ、それを客観的に見ることが、
自分自身との対話を生み出すのです。
書くというプロセスの中で、私たちは頭の中で
様々な知識と経験を引っ張り出します。
そのプロセスの中で、以前は気がつかなかった何かに気づいたり、
頭の中で考えている時には見えなかったことが文字として
明らかになることで気づきにつながりやすくなります。
私たちは対話によって「見えなかった何かに気づく」という
メリットを得ることができるのです。
「気づく」とは主体的な行動の結果です。
「教えてもらう」のではなく、自分の意思で過去の何か、
既知の何かとつなげて見つけるということが大事なのです。
誰かに指示されたことではやる気は起こり難いものですが、
主体的な「気づき」は主体的な行動にもつながりやすいもの。
ですからプラス方向の変化を起こしやすいとも言えます。
対話によってもたらされる「主体性」。
それがプラス方向の変化を生むカギなのです。
( DODパートナー:中川繁勝)