コンテクストのずれ

先日、ODNJ主催の5日間の組織開発体験講座に参加してきました。


南山大学の中村和彦先生が講師で、参加者が3つのチームに分かれ、

参加者とファシリテーターも含めたグループ全体(ラーニング

コミュニティ)に対して、診断型の組織開発を行うというものでした。


※診断型の組織開発とは、社員を対象に質問紙やインタビュー、観察などで

調査を行い、その結果をもとに対話をしながら、その組織がよりよく機能

するための働きかけを行っていく一連のプロセスです。


ラーニングコミュニティの一員として体験をともにしたみなさんとの

様々な活動を通して、今後に活かしたい貴重な学びがいくつもありました。


その中で、「コンテクストのずれの様々なパターンと、その対応」

ということが、私の中でとても印象に残っています。


「コンテクストのずれ」という言葉は、平田オリザさんの

『わかりあえないことから』に登場する表現です。


人がわかりあえないなあと思うとき、何かずれてる感じがするとき、

その背景にはコンテクスト(人それぞれの文脈、前提)のずれが存在します。


そして、そのずれ(わからなさ)にもいくつかパターンがあるということが、

この5日間の研修の体験を通してよくわかりました。


例えば私の体験をベースにすると・・・


<聞き手のとき>


・その人の言っている言葉の意味自体がわからない。

 専門的で自分にその知識がない


・その人の世界観であちこち飛びながら話していて、ついていけない


・何人かの人が共有している情報なり出来事なりがあるようだが、

 自分はそれを知らないので話についていけない


・その人が「なぜ、この場面でその発言(or質問)をするんだろう?

 どういう意図や理由があるんだろう?」ということがわからない


・その人の発言に使われる言葉が抽象的すぎて、イメージできない。

 その言葉をどういう意味で使っているのかがわからない


・その人が使っている言葉に対して自分が持っているイメージが違い、

 言っていることと違う意味に感じられる


・その人があきらかにある前提を持ってその言葉を使っていると感じられる。

 その人にとってはあたり前なのかもしれないけど、

 聞いている方にはあたり前じゃない感じがする


・言葉のやりとりの中で、誰かや自分の投げかけに対して、

 尋ねたことと違う内容の返事が返ってくる。

 意味はわかるが、それがつまり先ほど聞いたこととどう関係しているのだろう???


・話が二転三転し、部分部分はつかめたが、全体としてつまり

 どういうことだったのか、煙にまかれたようになってしまう


・言っていることはわかるけれども、無意識に受け入れたくない

 という防御態勢に入ってしまい、言葉を受け取れない


・この人はこの内容を発言してるけど、なんか別のメッセージや感情が

 伝わってくるな~というその人の言葉と内面にありそうなことのズレを感じる


・語尾が消え行っていくので、主張なのか、質問なのか、確認なのか、よくわからない



<発信者として>


・本当に言いたいことをそのままストレートに言うと害がありそうなので、

 前置きを話しているうちに、何を言いたいかわからなくなってしまい、

 本題が言えないことで聞き手がきょとんとする


・いろいろな理論やモデルで使われている言葉を頻発してしまい、

 相手にその背景がない


・自分にとっては重要な意味のある言葉でも、相手にとって「ふ~ん」程度の

 ものだったりして、軽く流されてしまう


・相手の人はわかったつもりで返してくれるのだけど、いやそれは

 わかってないだろうと思ってしまう


・自分の中にあるもやっとか、ぼわっとかしたものをうまく言語化できなくて、

 どう言ったらいいか探りながら話している


・相手の人が、意味はわかっているのだろうけど、何かしらそれを受け入れ

 たくなさそうな事情がありそう、もしくは、明らかに反対や別の意見を持っていそう


といったようなことは、日常の様々なシーンで起こっているのではないでしょうか。



他にもいろいろパターンはあると思いますが、

重要なのは、どこが共有できていて、どこが共有できていないのか、

もしくは、なんかずれているね・・・ということをまず、お互いに

共有することなのだと思います。


もしくは、その構造に気づいている人がその状況をメタに見て、

ニュートラルに、一人の人間として正直に、

「今、自分にはこう見えていますが、どうでしょうか?」

という置き石をすることが有効なんじゃないかと思うのです。



あと、もう一つ、今回の体験によって気づいたのは、

あえて「ずれ」を見えるようにして共有しなくても、

まったく別のところで(たとえば食事や懇親会など)いろいろな会話や

共通体験がなされれば、お互いのコンテクストへの理解が深まって、

それまでずれていたものが自然と調整されていくこともあるということでした。


もう少し別の言い方でいうと、その人のことをより知ることができれば、

その人の言葉の背景や意図を、以前よりもっと想像できるようになったり、

共感できるようになったりするということです。


会社の中で、一見無駄と思われるような、たとえばランチタイムや喫煙タイム、

ちょっとした立ち話、飲み会などの中に、実は仕事がうまく回るための

きっかけが眠っているのかもしれません。


対話の場でも、日常のちょっとした機会でも、

「コンテクストのずれ」が起こっていないか?ちょっと意識してみると

その先のより深い相互理解や共感の醸成につなげられるのではないでしょうか。


(DODパートナー:大前みどり)


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