私は普段、理念浸透活動のお手伝いなどでいろいろな企業に伺うことが多いのですが、ミーティングではなるべく「チェックイン」
から始めるようにしています。
「チェックイン」というのは、ホテルの宿泊手続きや飛行機の搭乗手続きのように、ミーティングやワークショップなどで、これから
参加者がその場に参加するために「今感じていること」などを話すことを言います。
その時点での自分の考えや感じていること、気がかりなことを話すことで、ミーティングやワークショップ中もずっとそれにとらわれ
続けることを防いだり、日常の時間と切り替えて、そこからミーティングやワークショップの場に入っていくためのものです。
通常、社内のミーティングでも、社外の方々とのミーティングでも、冒頭で社交的な会話のようなものは交わされることが多いかと思いますが、あくまでもそれは、役割や立場などのペルソナをかぶった上でのことが多いのではないでしょうか。
複数の人がコラボしながら取り組むプロジェクトでは、一人ひとりが持っている発想力や創造性が発揮されることによって、大きな
成果につながっていくことが少なくありません。ならば、メンバーそれぞれが発言に制限をかけず、その人らしさが自然に出てくる
場の方が、よい結果が生まれる可能性が高いのは言うまでもありません。
チェックインの時点で、なんとなくでも、一人ひとりが今どんなことを内面に持っているのか、どんなことを考えているのかを
お互い聞きあうことが、その後の時間によい影響を与えます。
気がかりなことがあってもそれを話して聞いてもらえることで落ち着く効果があります。聞く方も、話している人が内面に持って
いるものをみんなに共有してくれることによって、よりその人を知ることができ、近くに感じられます。
冒頭にそういった交流があってから始まるミーティングやワークショップでは、これまでよりお互いを尊重し合えたり、お互いの
声にしっかり耳を傾けることが出来たり、発言が活発になっていったりします。
自分はここにいていいんだという安心感と、自分は場の一員であり、自分の意見も必要な意見であるという貢献感が自然に育まれていくからではないかと思います。
必要なのは、本当にちょっとした一言とお互いに聴きあう姿勢。
次のミーティングでは「チェックインしましょうか」と、まずは投げかけてみてはいかがでしょうか。
最初はもちろん「え?」「なんで?」など、違和感や拒否感などが起こるかもしれません。でも、共に何かを創っていく関係だから
こそ逆に、お互いの「今」にしっかり意識を向け合うことが、関係の土台を築いていくことになるのではないかと思います。
さて、チェックインがあるからにはもちろん、チェックアウトもあります。
最後には、そのミーティングやワークショップ場から日常に戻っていくために、そこで感じていることをその場にいったん出して帰る
こともお忘れなく。
ミーティングやワークショップでのことで頭を占められていて、目の前の仕事に集中できないのももったいないですから!
(DODパートナー 大前みどり)